パッケージ検査とは?X線検査・ボンドプルテスト・気密性試験をわかりやすく解説
チップを樹脂やセラミックで封止すると、内部は外から見えなくなります。しかし、その中で接合が外れていたり、微細なすき間から湿気が入り込む状態だったりすれば、製品はいずれ壊れます。
封止した後のパッケージが本当に大丈夫かを確かめるのが、パッケージ検査です。ここには、壊さずに中を透かして見る検査、あえて壊して強度を測る検査、すき間がないかを調べる検査という、性格の異なる手法が含まれます。
この記事では、代表的な3つ——X線検査、ボンドプル・シェアテスト、気密性試験——を、それぞれ何のために行うのかから解説します。
パッケージ検査とは
パッケージ検査は、封止した後の半導体パッケージの品質と信頼性を確認する工程です。後工程の最終段階に位置し、電気的に動作するかを見る最終テストとあわせて、出荷品質を担保します。
業界団体の日本半導体製造装置協会(SEAJ)の装置分類でも、組立用装置の中に「検査評価装置」として、外観検査装置、密封度試験装置、ボンドプルテスタ、X線検査装置などが挙げられています。後工程全体の流れは半導体の後工程装置とは?で解説しています。
これらの検査は、大きく2つの目的に分けられます。
| 目的 | 調べること | 代表的な検査 |
|---|---|---|
| 内部の状態を確認する | 接合の欠け、断線、ボイド(空洞) | X線検査 |
| 接合の強さを確認する | チップやワイヤがどれだけの力で外れるか | ボンドプル・シェアテスト |
| 密閉されているか確認する | 湿気やガスが入り込むすき間の有無 | 気密性試験 |
X線検査|壊さずに中を透かして見る
封止したパッケージの中身は、外観からは確認できません。ワイヤボンディングが切れていても、はんだ接合にすき間があっても、表面は正常に見えます。
そこで使われるのがX線検査です。X線は物質を透過し、密度の違いによって濃淡の像を作ります。金属は濃く、樹脂は薄く写るため、樹脂に埋もれた金属のワイヤやはんだ接合を透かして観察できます。壊さずに内部を見られる非破壊検査である点が最大の特徴です。
X線で見つかる代表的な不良
- ワイヤの断線・変形:封止の樹脂流れで押し流されたワイヤの異常
- ボイド(空洞):はんだやダイボンド材の中にできた気泡状のすき間
- 接合不良:バンプの未接合(濡れ不良)やブリッジ(隣どうしの短絡)
とくに重要なのがボイドです。チップと基板をつなぐ接合部に空洞があると、そこで熱が伝わりにくくなります。半導体は動作中に発熱するため、放熱経路にすき間があると熱がこもり、性能低下や寿命短縮につながります。パワー半導体のように大きな電流を扱う製品では、この放熱が死活問題になります。
2次元と3次元(CT)
X線検査には、平面的に透過像を撮る2次元検査と、多方向から撮影して立体的に再構成するCT検査があります。
チップを積み重ねるHBMや、複数のチップを1つに収めるパッケージでは、平面像だけでは重なった部分の判別が難しくなります。3次元CTは、内部のどの層に不良があるかまで特定できるため、先端パッケージの普及とともに重要性が高まっています。マイクロバンプの微細な接合検査にも使われます。
ボンドプル・シェアテスト|あえて壊して強度を測る
接合は、つながっていれば十分というわけではありません。どれだけの力に耐えられるか——接合強度も、信頼性を左右します。弱い接合は、温度変化や振動の繰り返しでいずれ外れるためです。
接合強度を測るには、実際に力を加えて壊し、そのときの力を記録する方法が使われます。これは非破壊のX線検査とは正反対の、破壊試験です。当然、製品を壊してしまうため、全数ではなく抜き取りで行われます。
専用の装置はボンドテスタ(プル・シェアテスタ)と呼ばれ、複数の試験に対応する万能型が一般的です。代表的な試験は次のとおりです。
| 試験 | 対象 | やり方 |
|---|---|---|
| ワイヤプルテスト | ボンディングワイヤ | ワイヤに引っかけて上へ引っ張り、破断する力を測る |
| ダイシェアテスト | チップの接合 | チップを横から押し、はがれる力を測る |
| ボールシェアテスト | ボンディングのボール部 | 接合したボールを横から押してせん断する |
「どこで壊れたか」も見る
この試験でわかるのは、数値だけではありません。どこが壊れたか(破壊モード)も重要な情報です。
たとえばダイシェアテストで、接合面ではなくチップ自体が割れた場合、それは接合が十分に強いことの裏返しでもあります。逆に、接合面がきれいにはがれたなら、接合が弱かった可能性があります。
ワイヤプルテストでも、ワイヤの中央で切れたのか、接合部で外れたのかによって、問題の在りかが変わります。強度の数値と破壊の場所を組み合わせて、接合工程の状態を評価する——これが強度試験の実務です。ワイヤボンディングそのものについてはダイボンダーとワイヤボンダーの違いとは?で解説しています。
気密性試験|すき間がないかを調べる
3つ目は、パッケージがきちんと密閉されているかを確かめる検査です。とくに、内部が空洞になっている中空パッケージで重要になります。
湿気や腐食性のガスが内部に入り込むと、回路や接合が劣化します。それを防ぐため、高い信頼性が求められる製品では、内部を完全に封じる気密封止(ハーメチックシール)が施されます。セラミックパッケージがその代表で、宇宙・航空・軍事・車載といった過酷な環境で使われる製品に採用されます。
問題は、すき間があっても外からは見えないことです。そこで、漏れの大小に応じた2種類の試験を組み合わせます。
| 試験 | 調べる漏れ | 方法 |
|---|---|---|
| ファインリーク試験 | ごく微小な漏れ | ヘリウムガスを加圧封入し、漏れ出る量を検出する |
| グロスリーク試験 | 比較的大きな漏れ | 液体に浸け、内部から気泡が出るかを見る |
なぜ2種類必要なのか
ここが気密性試験の核心です。微小な漏れを測るファインリーク試験は、大きな穴が開いていると正しく測れません。穴が大きすぎると、検出用のヘリウムガスが試験前に抜けてしまい、かえって「漏れなし」と誤判定してしまうためです。
そのため、大きな漏れを見るグロスリーク試験と、微小な漏れを見るファインリーク試験を両方行い、2つの検出範囲を重ね合わせることで、初めて気密性を保証できます。片方だけでは、検出できない漏れの領域が残ってしまうのです。
これらの試験は、MIL-STD-883という米国の軍用規格などに準拠して行われます。高信頼性が要求される分野では、試験条件そのものが規格で厳密に定められています。
3つの検査の使い分け
ここまでの3つは、競合するものではなく、目的に応じて使い分けられます。
| 検査 | 壊すか | 全数か抜き取りか | 主に見るもの |
|---|---|---|---|
| X線検査 | 壊さない | 全数も可能 | 内部の接合・ボイド |
| ボンドプル・シェア | 壊す | 抜き取り | 接合の強度 |
| 気密性試験 | 壊さない | 全数も可能 | 密閉性 |
非破壊のX線検査と気密性試験は量産ラインでの全数検査に使え、破壊試験である強度試験は工程管理のための抜き取りに使われます。「見る」「測る」「壊して確かめる」を組み合わせることで、封止後の見えない品質を担保しているわけです。
完成品の電気的な動作確認についてはプローバとテスタの違いとは?、検査装置全体の分類は半導体検査装置とは?種類と世界シェアをご覧ください。
これらの検査に加え、長期使用に耐えるかを確認する工程もあります。半導体の信頼性試験とは?で解説しています。
先端パッケージで高まる検査の重要性
パッケージ検査は、先端パッケージの普及によって難しさを増しています。
チップを積み重ね、複数を1つに束ねる構造では、接合の数が桁違いに増えます。HBMのようにDRAMを何段も積む製品では、内部に膨大な接合が存在し、そのすべてが正常でなければなりません。1か所の不良が、積み上げた製品全体を不良にするためです。
しかも、積層された内部の接合は、外からはいっそう見えにくくなります。3次元CTのような高度な検査技術が求められるのは、このためです。AI向け半導体の性能がパッケージ全体で決まる時代において、「正しく組み上がったかを確かめる」検査の役割は、ますます大きくなっています。
壊さずに調べる検査と、あえて壊して調べる検査。目的が違えば、方法もまるで変わります。
全部は壊せないから、一部を壊して全体を推し量る。この割り切りの上に品質保証は成り立っています。
— semisouchi.com 編集室
よくある質問
X線検査で放射線の影響はないのですか?
検査に使うX線の量では、半導体の動作に影響が出ないよう管理されています。ただし線量が多いと一部のデバイスに影響しうるため、対象や条件に応じた配慮がなされます。
破壊試験で壊した製品はどうなりますか?
強度試験は抜き取りで行い、試験に使った製品は出荷されません。あくまで製造工程が安定しているかを確認するためのサンプルとして扱われます。
樹脂封止のパッケージにも気密性試験は必要ですか?
気密性試験は、主に内部が空洞の中空パッケージ(ハーメチックシール品)を対象とします。樹脂で隙間なく固めた一般的なモールドパッケージは構造が異なるため、湿度試験など別の信頼性試験で評価されます。封止方式についてはモールド装置とは?で解説しています。
これらの検査はどの企業が手がけていますか?
X線検査装置、ボンドテスタ、リークテスタは、それぞれ専門メーカーが存在します。汎用の計測・試験装置の性格が強く、半導体専業の大手装置メーカーとは異なる企業が担っていることも多い領域です。
まとめ
- パッケージ検査は、封止後の見えない品質を確認する後工程の検査
- X線検査は非破壊で内部を透視し、断線やボイド(放熱に影響する空洞)を見つける
- ボンドプル・シェアテストは、あえて壊して接合強度と破壊の場所を調べる抜き取り試験
- 気密性試験は、ファインリークとグロスリークを組み合わせて密閉性を保証する
- 3つは目的が異なり、「見る・測る・壊して確かめる」で使い分けられる
- 先端パッケージの普及で接合数が増え、3次元CTなど検査の重要性が高まっている
後工程全体の流れは半導体の後工程装置とは?、装置全体の位置づけは半導体製造装置とは?種類と役割を工程順にわかりやすく解説をご覧ください。